セックスと嘘とPassCode

[広告] 楽天市場

  • ZENITH (初回限定盤 CD+DVD) [ PassCode ]
  • bite the bullet (初回限定盤 CD+DVD) [ PassCode ]
  • MISS UNLIMITED (初回限定盤 CD+DVD) [ PassCode ]
  • ZENITH [ PassCode ]
  • [CD] PassCode/VIRTUAL
  • 【ゲキクロ限定】 PassCode x 激ロック LIMITED DESIGN T-Shirt - BLACK

PassCodeを通販で購入するならご参考に!頑張った自分へのご褒美にもいいのではないでしょうか

★今日のベビメタ

本日8月24日は、2016年、白ミサ@名古屋Zepp Nagoyaが行われた日DEATH。

TOTAL FATの熱気を引きずりながら、フードコート東側を通って、ジャングルステージで踊るアイドルたちをチラ見しつつ階段を上り、メッセ会場を出る。

プラチナ特権を利用して、専用シャトルバスに乗る。冷房が利いている長距離バスは、超カイテキ。5分ほどでZOZOマリンスタジアム会場へ到着した。

14:15のALL TIME LOWまで、かなり余裕があるので、とりあえずR側(1塁側)にある物販所へ行ってみる。プラチナレーンでなくとも、この時間、物販は空いている。

聞いてみたけど、案の定ベビメタTは売り切れとのこと。RichardさんにベビT買えたら送ると約束していたので、申し訳ない気持ちになる。

Inaba & サラスが終わって入れ替えの間、入場待機になっているので、L側に戻り、プラチナサロンに行ってみる。入場の際もらったワンドリンク引換券を利用し、バーコーナーでレッドブルテキーラを注文。そろそろ痛んできた膝と腰を労わるため、椅子に座って落ち着く。空は晴れて、雲の隙間から陽光が降り注ぐ。空調が利いた屋内のメッセ会場とは違って、マリン会場は野外だからテントの中でも暑い。

場内がどうなっているかわからないから、なんとなくそわそわして、カクテルを飲み干し、L側にしかないプラチナ口から球場内に入る。

しかし、プラチナビューイングエリアは、どのステージでも下手L側にしかないから、一般と同じR/L指定は意味がない。R側にもプラチナエリアを作れというのは、バカ高いプラチナチケット購入者全員の気持ちだろう。

つーか、BABYMETALのときに、プラチナだからゆったり観られるだろうと思って来たのに、モッシュに巻き込まれて激怒していたFoo Fighters目当ての東洋人のおばちゃん、もとい、おねいさんとツレの尻に敷かれているような白人男性のようなカップルもいるのだから、もっと細分化して、各ステージとも最前エリアまたはPAブース前特設椅子席6万円、上手/下手ビューイングエリア3万円、一般アリーナスタンディングエリア1万6000円、後方エリア(マリンはシート席)8000円とかにすれば、観客は目的ごとに散ると思う。まあ、単独ならともかく、フェスでは客の動きが読めないからなかなか難しいのだろう。

ALL TIME LOWは、アメリカ東部出身のポップ・パンクバンド。ポジティブであり、エモでもあり、なんならグルーヴ・メタルと言ってもいい。ホント、評論家やプロモーターが定義するジャンルの境界は曖昧だ。

入場待機の時から大声で「ALL TIME LOW!ALL TIME LOW!」と叫んで盛り上がっていたアメリカ人グループもいたから、熱烈なファンがいるのだろう。

曲調はまさにポップ・パンクで、SWMRSよりはキャッチ―なリフ、メロディで、盛り上がる観客に「Jump!」とか「Dance!」とか言って煽っている。ヘッドライナーのフーファイが1回のライブで「F**k」と叫ぶ世界記録を持っているので、それを意識して観客にC&Rよろしく「F**k」と言わせたりもしている。一応、「オイ!オイ!」とか「イエーイ!」とか言って、聴き取れる限りシンガロングにもつきあったが、正直、英語の歌詞に共感できず、あまりピンと来なかった。

ALL TIME LOWが終わると、プラチナでもけっこう入れ替えがあった。前述したとおり、再び合流したUさんと、じりじり前へ進み、柵前2列目まで来た。

次のバンドはRoyal Blood。バンドを待つ間に、DJが出てきて「どこから来た?」とか色々喋り、スタッフが客席に放水する。ピーカンのときならともかく、空は徐々に灰色に曇ってきていて、生ぬるいミストは気持ち悪いだけだった。

DJが去ったあと、スクリーンにはピーター・バラカンのプロデュースイベントの告知が流れる。いまだに「世も末」発言を修正・謝罪していないのに、フジロックならともかく、なんで2ndヘッドライナーにBABYMETALを抜擢したクリエイティブマンのイベントにイケしゃあしゃあと出られるのだろう?どういう神経をしているんだろう?

美意識を売りにする音楽業界人として筋を通すなら、「BABYMETALをメインに置くような世も末の会社とは仕事しない」と言うべきだろう。それなら尊敬してやるよ。そうしないのは、どうせ日本の音楽業界なんて、全部ショーバイなんだから、本音なんてどうだっていいんだよ、という人間として最低の奴だということなのだろう。もう1年半以上経つが、ぼくはBABYMETALの味方として、ダメな奴はダメだと言い続けるからね。

タモリ倶楽部の「勝ち抜き歌ヘタ合戦」の回に出てきた、ド下手オーケストラ、ポーツマス・シンフォニアによる「ツァラトゥストラはかく語りき」のテーマ曲にのって、UK出身のRoyal Bloodが登場した。

マイク・カー(B)とベン・サッチャー(D)の二人だけのブルース・ロックユニット。

これがぼくには衝撃的に物凄かった。BABYMETALを除けば、ベスト・アクトだと思う。

マイク・カーのベースは、フェンダー・プレシジョンなど、いたって普通の4弦ベース。だが、そこにエフェクターで倍音たっぷりのディストーションをかけ、ベースラインとギターのようなパワーコードのリフを同時に弾くのだ。

しかもマイクのボーカルは美しいハイトーンで、見事にベースの音域帯と重ならないようにしている。

目を閉じて聴いていると、3ピースか4ピースのバンド、例えばBBA(ベック、ボガード、アピス)か、初期Led Zeppelinのように聴こえる。だが、ここにギタリストはいない。

4-3弦でベースランニングしつつ、1-2弦でリフを弾いて歌い、間奏部では12フレットより上で、ガンガンチョーキングしてリードギターを弾くのだ。

エレキギターは普通1弦0.09mmか0.10mmのセットが標準で、ジャズギターやフォークの1弦0.12mmのセットだともうチョーキングがきつい。それなのに、ベースの1弦0.45というぶっとい弦をいとも簡単にチョーキングするのだ。その出音は、まるで質の良いヴィンテージレスポールみたいだ。

ベン・サッチャーのドラムスも負けていない。白いゴリラのような体形で、野球帽に薄茶色のサングラスをかけ、人を食ったようなニヤニヤ顔で、超パワフルな後ノリのドラミングをする。それが、マイク・カーのベース演奏と合わさると、まるで、歌っているように聴こえるのだ。こんなメロディックなドラミングは生まれて初めて聴いた。時折スクリーンにアップになるベン・サッチャーの指には、痛々しいほどのバンテージがまかれている。物凄い練習量なのだろう。

マイク・カーがメンバー紹介をすると、ベンはドラムセットを離れ、ジンと思しき透明な液体を時折口に運びつつ、ニヤニヤ顔のままステージマイクに近づき、予想を裏切るカン高い声で「コンニチワ」。

安田大サーカスのクロちゃんか、お前は。観客は大爆笑の渦に包まれる。

そのままステージを降り、観客席の中へ。この予測不能さはアブドーラ・ザ・ブッチャーに匹敵する。

ステージに残されたマイクは、一人で、文字通り孤高の超絶ソロを繰り広げている。ベンはニコニコ顔の観客たちと交歓し、その様子をカメラが大写しにする。その間もマイクのアヴァンギャルドなソロは続く。やがて、ステージに戻り、ドラムの前に座ったベンが一発叩いた瞬間、超絶ソロに命が吹き込まれ、ノリノリの楽曲となり、3万人の観客が笑顔でヘドバンし、踊り狂う大グルーヴ大会となる。

かと思えば、マイクがMEL9のようなシンセエフェクターを使って、イギリス人らしいリリカルなオーケストレーションを聴かせ、そこに、またしてもステージ上をうろうろしていたベンのドラムが入って、壮大なプログレ楽曲になったりもする。

マイクは、しまいには田園コロシアムのジェフ・ベックみたいに左手一本でリフとベースラインを同時に弾きつつ、右手でベンのドラムセットのシンバルを叩く。それが、ハードロックバンドの奏でる熱狂のロックンロールになってしまうのだ。こんなバンド、というかデュオ、見たことない!

フォーマットは、伝統のUKブルース/ハードロック。4つ打ちのEDM風、あるいは今風のポップ・ロックのドンツクドンツクなど影も形もない。すべて超重量級の裏拍。これぞロックの原点という武骨さだ。

明るく、楽しく、ポジティブで、ノリがいいだけがロックじゃないんだ。

Royal Bloodは、普段は内向的でおしゃべりが苦手な、ただし、楽器を与えておけば、食うことも寝ることも忘れて弾き続ける男たちが奏でる魂の表現、荒々しさと予測不能な危うさに満ち、結果、みんなを大喝采させてしまう、ぼくが愛してやまないロックそのものだった。

マイクスタンドにベースをぶらさげて去るという斬新な仕方で、Roal Bloodは退場していった。

いやあ、いいものを見せてもらいました。

セットリストは以下の通り。

1.Where are you now

2.Lights out

3.Come on over

4.I only lie when I love you

5.Little Monster

6.Hook, Line & Sinker

7.Figure it out

8.Ten Tonne Skeleton

9.Out of the Black

Royal Bloodのあと、またしても若干の入れ替えがある。UKロック魂を見せつけられてお腹いっぱいになり、日本人の有名バンドなどどうでもよくなってしまった観客がいたのだろう。サマソニ、健全である。

次のバンドは、メイト的に言えば1月のガンズ・アンド・ローゼズ日本公演@SSA の前座として、BABYMETALの出ない初日に抜擢されたMan With A Mission(MWAM)。

オオカミの頭を被った、ある意味「色物」、ソニーのCMにも出ている日本を代表するメジャーバンドである。

ステージの前面にはオオカミの口を模した、上下に別れた垂れ幕が設置されていく。牙の部分には空気を入れ立体となる。オオカミの口の中でMWAMが演奏するという演出。ステージの前だから、バックドロップじゃなくてフロントドロップか。

またしてもスクリーンには告知するバラカンが出てくるが、もう無視。

定刻16:50。両サイドのスクリーンでムービーが始まる。外人の導師や若者、夫婦、子どもたちが映り、Man With A Missionのヒーローぶりを称える。さすがソニーミュージック。ウェルメイド・ギミックとしてのクオリティは高い。

ムービーの終わり、狼の頭を被ったメンバーが登場すると観客席は大歓声に包まれる。

前身バンド時代はいざ知らず、狼の被り物をしたEggmanのコンセプト・バンドとしてデビューしたのは2010年だから、芸人風に言えば、実はさくら学院重音部BABYMETALと同期(^^♪である。

「設定」としては、エレクトリック・レディランドという世界で、ギタリストでもあった天才生物学者ジミー・ヘンドリックスによって生み出された超人的な肉体と頭脳を持つ生命体で、ヒトラーやヨシフ・スターリンなど、歴史上たびたび悪用されたために南極の氷に封じ込められていたのが、2010年、地球温暖化によって融け出し、“復活”したということになっている。

ギミックも“見世物”としてのロックバンドの常とう手段で、KISS、アリス・クーパー、マリリンマンソン、Slipknot、わが聖飢魔Ⅱなど、枚挙にいとまがない。話題作りのためのおふざけ色物バンドだと思っていると、演奏は完璧で、誘惑的でカッコいい歌詞や、そこまでして表現するアーティスト魂に、一般常識人は驚くと同時にファンになってしまうという仕掛けになっている。

ぼくは、HR/メタル派だから、悪ガキが下手くそな演奏で、生半可なサヨク的主張を叫んでいるだけのパンクや、暗いくらーい情念のガレージロックよりも、何重にも屈折した結果思い切ったギミックバンドの方が好きだ。

MWAMの音楽性は、DJがいるから、ミクスチャー、ニューメタル、ポップロック、メロコアなどといわれるが、例によってご都合主義的な定義であり、狼のギミックをまとった、キャッチ―でノリのいいJapanese Wolf Bandというだけでよい。

実際問題として、狼の被り物は、ボーカルのTokyo Tanaka、G&VのJean-Ken Johnny、ベースのKamikaze Boyまでは、大きく開けた口から喉までがぱっくりと開いて、人間としての顔が見えるから、多少重くて暑いだろうが、楽器演奏に支障はない。

だが、ドラムスのSpear RibとDJのSanta Monicaは、喉の部分まで毛皮で覆われており、一見どこにも穴がない。どうやって楽器を見ているのか。はっきりと演奏上問題ないと思われるのは、白塗りのお面をかぶったサポートギタリスト、E.D.Vedderだけだ。

数々のライブ、SSAでも証明済みだが、楽曲は4つ打ち、裏拍織り交ぜて、全編ヘドバン、ジャンプ、モッシュ可能な熱い曲ばかり。

客席へのステージダイブも敢行!

BABYMETALやOne Ok Rock同様、海外に通用する“日本代表”であり、メインステージにふさわしい。がうがう。

セットリストは以下の通り。

1.detabase

2.Hey Now

3.Take what U want

4.Emotions

5.Get off my way

6.Dog Days

7.Dead End in Tokyo

8.Raise your Flag

9.Fly away

8.9.はMWAMのアンセムであり、ライブの定番。「♪Fly away」「♪イェーイイェオ!」のシンガロングは、スタジアムを埋め尽くした観客全員が唱和し、大熱狂となった。

MWAMの終演後、アリーナ後方では入れ替えがあったようだが、プラチナ前列から移動する客は皆無。むしろ圧縮が始まる。

ぼくとUさんはプラチナエリアの柵前にぎゅうぎゅう状態で、水着のねーちゃんによる放水だの、またしてもバラカンの告知だのを耐え、今か今かとBABYMETALを待った。

18:10。

ようやく丸一日かけて「…フードコートの片隅で、狐が夜空に弧を描いた夏。」から始まる「紙芝居」がスタートした。

ここから先は、「サマソニ参戦記(1)」へ続くわけだが、朝のチェスター・ベニントン(リンキンパーク)追悼モニュメントに始まり、アイドル×ラウドロックで勝負するPassCodeのガッツ、日本のバンドとして高校時代からサマソニで育ってきたTOTAL FATの思い、フードコート脇のステージで懸命に踊るアイドルたちの姿、Royal Bloodの楽器アドリブというUKロックの原点、ギミックを武器として戦ってきたMWAMなどを見てきた結果、そのすべてを兼ね備え、そのすべてをのり越えて、2017年夏、BABYMETAL はMarine Stageに立ったのだと深く実感したことをお分かりいただけると思う。

そして、「CMIYC」のブレイクで、SU-が日本語で「ついに、ここまで来ました!」と叫んだ瞬間、ぼくの視界が涙でにじんでしまったということも。

圧倒的なBABYMETALのステージで恍惚状態となったぼくは、多くのメイトさんに続いて場外に出た。体は限界で、Foo Fightersを見るなら、座って見たいと思ったのである。しかし、激しいモッシュとダメジャンプで、いつのまにかプラチナのリストバンドは取れてしまい、意味のないR側と書かれたオレンジ色のリボンだけが残っていた。これでは、シート席に再入場できないかもしれない。ベビメタの余韻が残っているうちに早く書きたい。

で、帰る前に夕食を摂ってしまおうと思い、球場外のベンチで冷やしおろしうどんを啜っていたら、いつのまにかプラチナエリアではぐれてしまったUさんが隣に座った。偶然にも三度目の邂逅。きっとキツネ様による運命の赤い糸で結ばれていたのだろう。

「やっぱり、ファーストの曲はいいっすね」「ベビメタはアイドルですよ」「最初は嫌いだったけど、今はド・キ・ド・キ☆モーニングが大好きになってしまいました。」等々の名言が次々に飛び出した。

そうですね。あの「紙芝居」を見せられたあと、「BMD」の次が「ド・キ・ド・キ☆モーニング」だったら、ぼくは、いやおそらく古参メイトさんの多くが号泣したと思います。

もう有休を使い果たしてしまったので、今晩中に名古屋へ帰り、明日から仕事だというUさんとバス停で別れ、ぼくも電車に乗って家に帰った。シャワーを浴びて、午前0時にブログを書き終わり、木偶のように眠った。

不思議なことに、RIJといい、サマソニといい、あれだけ酷使したのに、フェス明けは体がきつくない。ダラダラとTVばーっかり見ている休日より、よほどリフレッシュできるのだ。きっと心にパンパンに空気が入るからだろう。

(この項、終わり)

PassCode 街に、ルネッサンス

★今日のベビメタ

本日7月11日は、過去BABYMETAL関連で大きなイベントのなかった日DEATH。

—-Richard さん迎撃オフ会—-

イギリス人メイトさんRichard氏来日を記念し、本ブログ初のオフ会を実施します。

(1)Zepp Divercity白キツネ祭りAfter Paty

日時:7月26日(水)21:30~(状況次第)

会場:Zepp Divercity 周辺の居酒屋(個室予約済)

(2)都内観光ツアー

日時:7月27日(木)11:00~18:00

場所:集合場所、訪問先等は後日発表いたします。

(1)(2)ともどなたでもご参加いただけますが、人数把握の為、コメント欄にご記入をお願いします。

—————————————

第六条 ド・キ・ド・キ☆モーニングに涙せよ

1997年テレビ東京「ASAYAN」から誕生したモーニング娘。は、90年代テレビ業界の“アイドル氷河期”を打ち破り、2000年代以降の「アイドル」というジャンルの開拓者となった。

2005年デビューのAKB48は、秋葉原に常設劇場を設置し、売れないアイドルの寄せ集めを「会いに行けるアイドル」として売る画期的なプロダクトだった。

2008年にデビューし、2011年4月に改名して現在のメンバーとなったももいろクローバーZは、路上・店頭ライブから紅白出場、国立競技場14万人動員へと「成長」し、TV出演にとどまらず大規模ライブをメインアクティビティとするロックミュージシャン的な路線を確立。2016年には63万人以上を動員した革命的アイドルグループである。

2010年にさくら学院重音部としてデビューしたBABYMETALは、こうしたアイドル史の流れに立ち、「メタル楽曲」「卓越した歌唱力・ダンス」「生バンド」「海外進出」といった要素で勝負し、それが見事に奏功して今や世界的な人気と実力が評価されるアーティストとなった。

BABYMETALのコンセプトは「アイドルとメタルの融合」であり、それは元々Perfumeの「アイドルとテクノの融合」の応用であることから、「音楽事務所アミューズ所属アーティスト」というフィルターによって意図的かつ対象化されているとはいえ、基軸は「アイドル」である。

ぼくは、この日本発の「アイドル」というコンセプトは、現在、世界の音楽業界で最強のカードではないかと思っている。それもBABYMETALによってその質的転換がはかられたと考えている。

2009年ごろからファッション誌のモデルだったきゃりーぱみゅぱみゅは、増田セバスチャンおよび中田ヤスタカによって「ファッションと音楽の融合」としてプロデュースされ、2011年、「PONPONPON」MVがYouTubeにアップされると、欧米であっという間に数千万回の視聴件数となり大ヒット。日本のポップカルチャー、原宿系Kawaiiテクノとして、欧米社会に受容され、2013年からワールドツアーがスタートした。

以前も書いたが、BABYMETALは少なくとも「ド・キ・ド・キ☆モーニング」「いいね!」のMVまでは、きゃりーぱみゅぱみゅの切り拓いた土壌の上にKawaii Metalとして欧米に紹介された。KPPがいなかったら現在のBABYMETALはない。もちろんそれを言えば、80年代KOBAMETALがテレビで見た聖飢魔ⅡやX-Japan、仮想敵巨大勢力“アイドル”としてのAKB48や、”アイドル戦国時代“の先行者としてのももクロの存在がなければBABYMETALも誕生しなかっただろう。

ハリウッドPalladiumでは、パンテラの創設ドラマー、ヴィニー・ポール(Hellyeah)の前で、パンテラのドラムサウンドを使ったDTMで打ち込んだ「ド・キ・ド・キ☆モーニング」が演奏された。

この曲は小5と中1のアイドルのデビュー曲としては異例のメタル楽曲に仕上がり、その中には、サザンオールスターズ譲りの「今何時?」が“オマージュ”されている。

ファーストアルバム「BABYMETAL」の中の「ド・キ・ド・キ☆モーニング」は、声がまだ幼く、公式MVで見られる三人の姿は、今から見ると信じられないくらい子どもである。

2010年度さくら学院が出演した「月刊Melodix」の「アイドル下剋上~さくら学院VS私立恵比寿中学」(2011年2月27日放送)でも、子ども時代のBABYMETALの姿が見られる。

三吉彩花が「先輩はサザンオールスターズさん、Perfumeさん…」と言って、山里亮太がのけ反るシーンや、「胸キュンセリフ対決」をしたYUIがあまりに可愛くて、山里が「おれこの収録終わったら仏門に入っちゃおうかな」と言ったシーンなど、印象的な回だった。

そこにはエビ中の初期メンバー真山りか、星名美玲、安本彩花、廣田あいか、柏木ひなた等が勢ぞろいしており、今年2月に致死性不整脈で若くして亡くなってしまった松野莉奈さんの顔もある。

あいあいは「エビ反りダイヤモンド」の一節「♪だーから怒らないで笑って許してね」を、さくら学院重音部は前に出て、カラオケで「ド・キ・ド・キ☆モーニング」の1番を披露した。

もう10年以上前のように思えるが、実はまだ6年しかたっていない。

一番ちっちゃかったYUIは、SU-と並ぶほどすらりと美人さんに成長し、MOAは骨格が発達して別人のように可愛くたくましくなった。だが、驚くべきことにその振付は、ハリウッドPalladiumで見た現在もまったく変わっていない。

もしLoudnessのように、アイドル出身でも正統派メタルバンドを志向するなら、こんなコミカルでキュートなアイドル時代の曲など、揚棄すべきものだろう。しかし、パンテラのドラムに乗った「ド・キ・ド・キ☆モーニング」をBABYMETALはとても大切にしている。

2014年の日本武道館「黒い夜」でも、「ド・キ・ド・キ☆モーニング」は、「ヘドバンギャー!!」で世界進出という過酷な運命を導く銅鑼を打ち鳴らす前の“原点”として演奏された。

2016年のウェンブリーアリーナでは、この曲から「メギツネ」「イジメ、ダメ、ゼッタイ」「KARATE」「ギミチョコ!」「The One」「ROR」と怒涛のように続く後半のセトリを導く役割を果たした。

そして、2017年最初の単独ライブとなったハリウッドPalladiumでは、先述したようにヴィニー・ポールの目の前でこの曲を披露した。

なぜこの曲がそれほど重視されるのか。それは、「BABYMETAL DEATH」と並んで、この曲がBABYMETALにとって、いわば「名刺代わり」の曲であり、コンセプトを端的に示す曲だからだ。

かつて、日本のアイドル歌手は、K-POPのビジュアルやダンス、セクシーさといった要素に水をあけられていた。

しかし、きゃりーぱみゅぱみゅ、Perfume、BABYMETALと質の高いアーティストが続出したため、今や日本人の「アイドル」であることは、欧米の音楽界に受け入れられるパスポートの役割を果たすようになった。特にBABYMETALは生バンドであり、SU-の歌唱力、表現力に達した三人のダンスは、耳の肥えた音楽ファンの心を奪った。そのため、欧米人の音楽ファンにとっては、日本のアイドルグループ、日本人ガールズバンドは、頭から拒絶するのではなく、とりあえず一度は聴いておくべきもの、見ておくべきものという了解が生まれつつあるようだ。

Zepp Divercityの白キツネ祭りに来日するイギリス人のRichardさんは、ウェンブリー以来BABYMETALを追いかけているが、だつりょく系げきじょう系「ゆくえしれずつれづれ」(Codomomental所属)のファンだという。

ぼくはぼくで、以前も書いたが大阪出身のスクリーモアイドル、PassCode(ユニバーサル所属、サマソニ2017幕張のOA出演)に注目している。

明るくカワイく、ちょっとお馬鹿で、一所懸命頑張る疑似恋愛対象の女の子たち、という一昔前のフォーマットではなく、音楽的・表現的にかなり深いところまで“攻める”アイドルが増えてきたのだ。SCANDALやBand-Maidのように自分たちで演奏しつつ海外進出するガールズバンドも増えてきた。

BABYMETALを見る/聴く楽しみの中には、こうした「状況を変えつつある」アーティスト、つまり音楽的なスタイリスト、歴史的存在としての彼女たちを見ておくという楽しみもある。

そう、「ド・キ・ド・キ☆モーニング」という曲には、歴史を変えた重みがある。やたらと新曲をぶち込んでくるより、デビュー曲にそれだけの意味を持たせ、大切に育てているKOBAMETALの心意気に頭が下がる。

さすがに現場では泣けないのだが、深夜ひとりで車の中で「Live at Wembley」を聴いている時とか、休日にいい加減酔っぱらってDVDを見たりしていると、「ド・キ・ド・キ☆モーニング」のYUIとMOAがロボットダンスをする瞬間、「ああ、すべてはこの曲から始まったんだ」と思って、走馬灯のようにいろいろなシーンが頭をよぎり、ふいに涙がこぼれちゃうのDEATH。ああ、とことんベビメタ馬鹿だな。


PassCode 関連ツイート

【MV】PassCode – アスタリスク https://t.co/StEmGebVlO
#Nowplaying Kissの花束 – PassCode (ALL IS VANITY) https://t.co/NxlBcf3FMa
@ichikiPlusA 昨日のPasscodeは、色々な意味で、2階と最後尾以外は、
どこも等しく激しいし、どこの場所からでも楽しいとおもった!
まあ声優現場は、ヲタと運営の意識のせいで99.9%無理だろうけど、ロック現場のようになってるところもひとつくらいは欲しいね。
RT @ichirooo1600: PassCode ZENITH TOUR FINAL(O-EAST)
初パスコ、あっという間に終わってしまった……最高最高最高最高楽しすぎた…………曲カッコ良すぎる😱
初めてダイブもさせて頂きました。上げてくださった方、下で支えて下さった方あ…

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする